メキシコの Single Window

ラテンアメリカにおいては、域内Single Window構築の動きもある中、各国においては国内のSingle Windowが稼働を開始しているというのが現状です。

メキシコのSingle Windowは、現在漸次実際の運用が始まっている段階ですが、機能的には他国の先行事例と左程変わりなく、その目的とするところも同様です。

概要とその運用において特筆すべき点を次の通り簡単に取り纏めました。

名称:                           VUCEM

政令公布:                      2011114

段階的実用開始:

2011年9月    SE   経済省  
    税関  
2012年1月   SEDENA    国防省 
   SEMARNAT   環境省 
    SAGARPA   農牧農村開発漁業食糧省
    SALUD  保健省
2012年6月  SENER   エネルギー省
    SEP   教育省
2012年末   民間  (貿易業界・物流業界・金融業界等)と連携

運用責任者:                  SE 経済省

基本用語: VUCEM   Ventanilla Unica de Comercio Exterior Mexicana

                            Single Window for International Trade of Mexico

COVE   Comprobante de Valor Electronico

                            財の価値を表象する電子書類等

            VOCE   Validador de Operaciones de Comercio Exterior

                            輸出入にかかわる可否自動判定機能

1. COVEの有効利用

VUCEMが有効に利用されるにあたって、大きな要素となっているのがCOVEと言える。

輸出入に伴って取交されるProforma InvoicePacking Listなどの商業書類や公的領収書、輸入インボイス、送り状、価格申告書などの財の価値を表す文書類をXMLファイルとして公的に認証する仕組みが構築されており、これらを全て含めてCOVEと称する。

このように公的に認証された文書には電子文書番号(Numero de documentos electronicos)が払いだされる。電子文書番号を得た書類は、通関時に書面にて提出する必要がなくなる。

COVEVUCEMのモジュールのような位置づけとなっており、これにより従来のように書面の文書が届くのを待たずに、電子的に手続きを進めることが可能となる。

またCOVEWeb Serviceによっても提供される。

2. VOCEとCOVEによる通関の効率化・透明化

通関ブローカーは輸出入申告にあたり、当局から払いだされた電子文書番号を記載する。VOCEは提出された電子文書に付与した電子文書番号と、申告書に記載された同番号を自動的に照合する。これにより輸出入申告には裏付け資料となる書類の提出が不要となる。この段階では一義的に人を介さずにスクリーニングされるので、手続きの効率化と透明化が同時に実現される利点がある。

3. VUCEMの実現によるNAFTA関連の貿易取引手続きへの影響

VUCEMの実現如何に関わらず、NAFTAでは米国、カナダ、メキシコの税関は電子文書を承認しており、監査においてもその有効性が認められている。従って書面による貿易文書の提出は要求しないことになっている。しかし裏付け資料の保管義務は課されているので、この部分を書面の文書で補うという考えもあろうし、別の考えもある。一重に各企業の対応方法如何に掛かってくる問題で、その方法に関わる当局からの指導等は無い模様。

(KW/2012.06.01) Return to Index