<提言 a-3-1>
<提案内容>
(1)荷主が輸出業務の為にNACCSに伝送するインボイスや船積指図等の中から抽出したデータだけで原産地証明発給の電子申請が出来るよう、各国と原産地証明のデータ統一を討議する際に留意する。
(2)原産地証明の書面を無くし、電子データを正とし、相手国との原産地証明の発受信は共にNACCS経由とし、NACCSに蓄積保存されたデータを以って荷主の関連文書法定保存義務が全うされたと看做す。
(3)FTAに限らず、一般特恵等に関わる原産地証明も上記と同じく電子化する。
(4)植物検疫等の手続も電子化する。
<提案理由>
今月9日の日経でアジア16カ国の輸出手続統一化推進が報道されたが、これは域内の貿易手続円滑化もさる事乍ら、わが国の効率化、競争力向上に直結させるべきものである。その為には国内の貿易手続とシームレスに繋げる事が肝要である。新NACCS稼動以来、これまで輸出入申告が主であった電子化が、荷主も新たに参加することで、周辺業務に迄拡大している。一方FTA用の原産地証明の発給申請は既に電子化されているが、独立したシステムで、かつ所要データも他貿易文書から流用できない部分が多々ある。この機に各国と原産地証明の所要データを上記の観点を含めて見直し、同時に申請をNACCS経由することで申請者の便宜を図るべきである。
又、一般特恵は別とか、検疫証明*は別というような事は貿易業務効率上望ましくないので、府省共通ポータルの観点から、NACCSに集積される、取引に必ず必要な「貿易文書」のデータから、全ての「貿易手続」データが派生されるような環境構築を目指すべきである。
電子貿易文書の長期保存は、e文書法の施行にも拘わらず条件のクリアが困難で、未だ書面文書を併行して保存せざるを得ない状況である。上述通り多くの貿易文書はNACCSに集積される。
NACCSは民営化されたとはいえ、関税徴収を一手に扱う機関であり、将来に亘って国が相応の株を保有するとすれば、必ず民間からは隔離された部分が残る。斯る民間に手が届かない部分に貿易関連文書を法定期間保存することで、民間を保存義務から解放すれば、書面保存によるコストが節約でき国際競争力強化にもなる。因みに民間は自社で貿易文書データを保存し自社での使用と共に、当局による調査にも開示できるので、当局が必要に応じてNACCSにアクセスして検証するという使い方が可能と思料する。
<KW>